整備士
神野 浩一
自動車サービスセンター主任
仲間と共に安全運行を支える、整備士としての誇りを感じる「瞬間」
神野が勤務するのは、京都最大手のタクシー・ハイヤー会社である彌榮自動車の整備工場。タクシー・ハイヤー会社の整備工場としては全国屈指の規模を誇る。
神野は、京都を走るタクシー・ハイヤーの安全運行を支える整備士である。
神野の整備士としてのキャリアはレンタカーの整備工場から始まった。その後、小さなタクシー会社や運送会社での勤務を経て、このヤサカ自動車に腰を落ち着け、今年で10年。
さまざまな会社で車両の整備経験がある中、最終的にヤサカ自動車で「タクシー・ハイヤーの整備の道」を選んだのには理由(わけ)がある。
神野が仕事場とするヤサカ自動車は、まだ自動車が珍しかった大正時代に京都で第1号の営業許可鑑札を受けたというタクシー・ハイヤーの草分けだ。クルマの歴史と共に歩んできた。外国製の大型車両が主力の当時、クルマをスマートに乗りこなすには手間がかかった。終戦直後207名の社員のうち半数が整備士であったという。クルマと乗務員と整備士が息を合わせて仕事をしていた時代を経て、現在に至る。
― 神野は語る。
『まず初めにヤサカで感じたのは、乗務員さんと整備士の関係がとても良好で、仲間意識が高いということです。よくありがちな修理を発注する側と修理をする側という関係ではなく、一緒に働く仲間として接しています。乗務員さんと直接コミュニケーションがとりやすいので、車両の調子や整備の感想がすぐにフィードバックされます。整備士が向き合うのはクルマであって、対人の仕事ではないと今まで思っていたのですが、ヤサカで働くうちにその考えが変わりました。』
『やはりクルマに乗る人のことを考えて整備するべきだと思いましたし、それが自分自身の技術の上達にもつながりました。そして人生経験豊富な温かい社員が多いヤサカの社風が気に入っています。クルマ以外の世間話なんかもよくしますよ。人と人との繋がりや温かみが感じられて、仕事場でのひとつひとつの作業にも自然と力がこもります。』
この仕事の醍醐味は
タクシーやハイヤーという
特殊なクルマを整備すること。
毎日長い距離を走るタクシーは整備の重要性が高く、整備士が貢献できることが多い。料金メーター、LPガスボンベなどタクシーならではの装備に加えて最近のタクシーはGPSデジタル無線機、決済端末など最先端の技術を満載している。通常のクルマにはない装備に触れるのも刺激的な経験だ。
タクシーの整備を日々重ねていると同じ車種のクルマでも車両ごとに乗務員の運転のクセや傾向が感じられる。そこには奥深い世界があり、整備士として興味が尽きることはない。
神野が勤務するヤサカ自動車はグループ会社に京都トヨタ自動車、ネッツトヨタヤサカというトヨタ系自動車販売会社を持つ。その縁でヤサカ自動車は、トヨタが開発した世界初のエコカー「ハイブリッドカー・プリウス」を世界で始めてタクシーとして運行した会社としても知られている。伝説のプリウスタクシー第1号車は、トヨタ自動車の工場で部品の耐久性などの検証に役立てられた。
『タクシー以外の来客の一般車の整備も展開していますし、まだまだこれから伸びていく会社だと思います。一般の修理工場の廃業が相次ぐなか、ヤサカ自動車は母体が大きいですし、未来を見据えた事業展開をしている会社なので、腰を落ち着かせて仕事に取り組むことができます。未経験な分野についても働きながら資格を取得することもできますし、存分に手に職をつけることができます。』
Professional
神野が考える
「プロフェッショナル」とは?
『安全を支える整備士としての誇り』
『タクシーはいろいろな人の人生を運んでいます。乗車されるお客さまが千人なら、千通りの人生を毎日運んでいる訳です。整備セクションの働きはヤサカのシンボル「三つ葉のマーク」が意味する「安全」「快適」「信頼」を支える意義ある仕事だという実感があります。』
神野の笑顔がこの仕事のやりがいと自分の仕事としての誇りを感じさせる。
今日も神野は、入庫してきた1台のタクシー車両と向き合っている。